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天外内トレーニング

日本でキリストの弟子となるために

宣教戦略シンクタンク「RACネットワーク」福田充男

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その8 夫婦の日課

家族が大切

「あなたにとって一番大切なものは何ですか」と聞かれたら、何と答えますか。2008年の統計数理研究所の調査によると、「家族」と答えた人が断トツに多く、その割合は46%に達しています(http://www.ism.ac.jp/)。

 

つまり、生命、健康、自分、子ども、財産よりも、家族が大切だと考える人が多いのです。いつから日本人は、これほどまでに家族中心の価値観を持つようになったのでしょうか。

 

『迷走する家族』の著者である山田昌弘は、第2次大戦後、国家主義的な傾向(=クニ)が影を潜め、伝統的な村落(=ムラ)が崩壊する中、相対的に家族(=イエ)への所属意識が高まったと論じています。

 

また、90年代の景気後退時に、ほとんどの日本人が2つの夢をあきらめたと分析しています。1つは、持ち家を得ること。もう1つは、子どもが自分たちよりも高い学歴を得るために高収入の職場で働き続けることでした。

 

夢が叶うための経済的基盤を失った今、個人も社会も、家族とどう向き合っていけばいいのか分からなくなっています。この状態を山田は「迷走」と表現しています。

 

心の拠り所を求める日本社会に、教会は家族の進む「道」を提示することができるのでしょうか。

 

3つの日課

友人の恵嗣の話をいたしましょう。彼は、一所懸命仕事をして男として成功することが人生で何よりも大切だ、という価値観を持っていました。そのため、妻・和美の言動が「成功」の妨げになると思ったときには、頭ごなしに叱りつけていました。まるで上司と部下のような夫婦関係でした。

 

ある日、恵嗣の友だちが来て言いました。彼は少し前に離婚したばかりでした。「君を見ていると、以前の自分を見ているようだ。結婚生活は大丈夫か?」

 

恵嗣はそれを聞いてがく然としました。仕事熱心な夫と従順な妻という組み合わせは良い夫婦の標本だぐらいに思っていたからです。それで、夫婦揃って相談に来ました。私は、自分たち夫婦が取り組んでいる3つの日課について分かちあいました。

 

「3つの日課」は、日常生活の中で取り組む課題です。夫婦関係を回復するために特別なイベントを企画しても、永続的な効果は期待できません。それは、骨折したときにギプスをはめないで、痛み止めと湿布で対処するようなものです。

 

配偶者に対して愛と誠実を表現することが日常生活の一部になるなら、相手を慕う気持ちは自然に回復し、成長していきます。良い関係は、日々の誠実な関わりの果実です。人は、日々蒔くものを刈り取るようになるのです(ガラテヤ6章7―9節)。

 

それでは、3つの日課についてご説明しましょう。

 

第1の日課は、心を合わせて一緒に祈ることです。

 

「もし、あなたがたのうちふたりが、どんな事でも、地上で心を一つにして祈るなら、天におられるわたしの父は、それをかなえてくださいます。 ふたりでも三人でも、わたしの名において集まる所には、わたしもその中にいるからです。」(マタイ18章19、20節)

 

夫婦が毎日、神の前に出て心を合わせて祈ることを通して、この約束を経験することができます。

 

第2の日課は、感情を分かちあうことです。

 

自分がどう感じているかを見極めて表現する技術は、練習することによって上達します。この技術を磨くことにより、お互いによく話を聞き、受け入れ合うことができるようになります。

 

2人が短く祈った後、まず24時間以内に経験した出来事と、そのときに感じた感情を述べます。喜怒哀楽、寂しい、恐い、罪責感、戸惑いなどです。その後、それと同じ感情を最初に抱いたのは、いつ何をしたときだったのかを、思い出して分かちあいます。子どものときや思春期のときの経験を紹介するのです。

 

ただ、配偶者に直接関係する出来事を取り上げて分かちあってはいけません。また、配偶者が語った感情に対していかなるコメントもしてはなりません。批判したり教えたりしないで、相手のありのままを受け入れてください。

 

第3の日課は、やさしくほめることです。

 

あなたの配偶者は、あなたのために神が選んでくださった特別な人であり、称賛に値する人物です。ほめ言葉によって相手の成長を助けましょう。

 

毎日、配偶者のどこが好きか、何に感謝しているか、どのように優れているか、を2つずつ語ってください。 照れないで、互いに誠心誠意語り合いましょう。

 

相手からほめてもらったら、必ず「ありがとう」と答えて会話を締めくくってください。 相手の言葉を拒否しないで感謝して受け取り、心に収めてください。

 

さて、これを始めた恵嗣と和美はどうなったでしょう。

 

後日、恵嗣は言いました。「日課に取り組んでいるうちに、自分の傷や弱さを受け入れることができるようになってきました。それと同時に、妻の痛みや悲しみも分かってきました。ある日神様が、『君を造ったのは和美の痛みを一緒に背負わせるためだ』と語ってくださいました。」

 

和美は言いました。「毎日こんなに多くの感情を自分が抱いているんだということ自体にびっくりしました。また、夫の多様な側面に気づくようになりました。それが分かれば分かるほど、夫に対する親しみが湧き上がってきました。まるで二度目の恋におちたようです。荒れていた子どもたちも落ち着いてきました」

 

新しい家族モデルの提示

クリスチャン夫婦がこの「3つの日課」に取り組むならば、日本社会全体に新しい家族モデルを提供することができます。癒され、整えられた夫婦の姿は、安定した職業や高い給料を前提としない親密な共同体の構築を提案するものです。それは神の国のショーウィンドーであり、機能不全に陥った家族が満ちる日本社会に憧れと渇きをもたらすようになるでしょう。

 

回復された家族は、最強の伝道の武器です。彼らとの接触を通して未信者の家族が救われ、「3つの日課」に取り組むようになるなら、証の連鎖が起こることでしょう。連鎖が起こるために、教師を育成したり、テキストを作ったりする必要はありません。普通の夫婦がムーブメントの担い手となります。

 

「3つの日課」は、夫婦版天外内組です。祈りは「天」、他の夫婦への伝染は「外」、感情の分かちあいと称賛は「内」の要素です。夫婦で救われた方は、回心後すぐに、こちらの夫婦対象の天外内組バージョンに取り組むこともできます。