アーティクル

紀元1世紀の教会出席

(ロバート・バンクス著、三上章訳)

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その6 招かれた顔ぶれ

私はじきにその奴隷の主人に紹介されました。彼の名はアリストブーロスといい、かなり責任ある公職についている人でした。その仕事について私たちはしばらく話をしていましたが、話があまり進まないうちに、アクラが手をたたいて、私たちの注意を引きました。彼は、二つの水時計の一致より2人の哲学者の一致を見いだすことのほうがいかにたやすいかという、ありきたりの冗談の一つを語りました。他の人から聞いたものなのかもしれませんが、その冗談を始めたのはセネカだと思います。

 

それから彼は、他の客たちがこちらに向かっているところだという知らせを今受け取ったので、食事に備えるため私たちは食堂に移ったほうがよいだろうと言いました。広間から出るとき、私はまたクレメンスとユーオディアと一緒になりました。

 

「これから礼拝が始まるのですか」と、私はクレメンスに聞きました。彼は口元に微笑を浮かべながら、からかうように私を見ました。

 

「それは、私たちが家に入ったときから始まっていますよ」と、彼は答えました。そして、彼はそのことを私が自分で理解するように仕向けました。

 

食堂も、先ほどいた広間から離れたところに、ゆったりした大きさで広がっていました。アクラとプリスカはここでも首尾よくやっており、なぜ彼らのところで集会が行なわれるかが分かりました。クレメンスのアパートなら、子どもたちを含めて普通の客を9人入れるのがやっとでしょう。アクラのアパートの初代の持ち主は、食堂の長さはその幅の2倍であるべきだというヴィトルヴィウスの有名な格言に明らかに賛成していたのでしょう。つまり、食堂は、三つ1組の寝椅子を2組置くことができ、最高18人までの大人と、必要ならテーブルの前の空いた場所にある長いすか腰かけに子どもが6人座ることができる広さでした。私たちが入ったとき、プリスカ(または、皆が親しみを込めて呼んだようにプリスキラ)は、私たちを席に案内してくれました。

 

「プブリウスさん、最初のテーブルを囲む真ん中の寝椅子の一番前に座っていただけますか」と、彼女は聞きました。

 

私は間違いではないかと思いました。それはふつう一番大事なお客のためにとっておかれる席だからです。

 

「ここですか」はその席の横に立ち、自信なさそうに聞きました。

 

彼女がほほえみながらうなずいたので、私は仕方なくその席に着きました。

 

彼女は私のそばにクレメンスとユーオディアを座らせました。アリストブーロスは、当然私の席に着くべきはずなのに、他ならぬ彼の奴隷と一緒に、あまり重要でない客用の寝椅子に着きました。私は、彼がこのエチケットの二重違反をどう受け取るかと注目していましたが、気にしない様子でした。たとえ気にしていたとしても、その憤りをうまく隠していました。私がこれまで行ったことがある食事の席で、もしこういうことがあれば、彼が憤然として席を立っていくのも当たり前だったでしょう。

 

彼の向かいにある一番前の寝椅子に、アクラは私を右にして正しく着席しました。プリスカはその隣の席に着きました。部屋のあちらの隅には、もう1組の三つの寝椅子がこちら向きに置いてあったので、互いに相手を見ることができました。

 

3人の子どもたちは、真ん中にある折りたたみ椅子に座っていました。父母と一番上の男の子は左側の寝椅子に座り、祖母はその向かいにある寝椅子の一番前に座り、一番下の女の子がその隣に座りました。そういうわけで、テーブルの回りには、これから来る客のために充分な席が残っていました。