リーダー育成

コーチング事例:教会開拓者へのコーチング事例シリーズ

青島めぐみ

 

2:霊的な父親になるための葛藤と不安

このシリーズでは、教会開拓者へのコーチングの事例を紹介しています。 第2回目は、井上秀次さん・満智子さんご夫妻に対するコーチングです。数年前、秀次さんの転勤のために、彼らはあるセル教会から転会してきました。 この教会では、相当な自立性を持った小グループのことを「セル」または「ハウスチャーチ」と呼んでいます。これらの2つの用語は、ここでは交換可能な同義語として用いられています。 グループの1つひとつは独自の礼拝、伝道、牧会、訓練等の教会の機能を担っていますが、それらのグループは1つのネットワークとして結びあっています。 コーチは、それぞれのグループのリーダーをコーチし、グループが健全性を保ちながら増殖するように導いています。井上さんご夫妻は、セルがセルを生み出すという新しい段階に移る前の様々な葛藤と不安を持っています。 それは霊的な父親になるために不可欠な過程です。コーチは彼らの歩みを導いておられる神を指し示し、もう一歩神に信頼を寄せるようにと励ましています。

 

自分でやるほうが楽

    コーチ
  1. 今抱えている問題とその解決策について話してみて。

 

    満智子
  1. この間ゴスペルのワークショップをしてみて、私は伝道が下手だなと思いました。 自分ができないのに人に教えられるのかなって思うんです。個人的にはこれからも新しい人に伝道して、救われた人を育てることにかかわっていきたいのですが、この先ずっとリーダーとしてやっていくのは難しいと思います。 私には無理なんじゃないかと思うんです。彼らが自分たちで、私たち抜きでセルを作り、セルリーダーが立ってきたら、コーチにみてもらいたいと思って……。

 

    コーチ
  1. 秀次さんはどう思うの。

 

    秀次
  1. 自分がするより、メンバーに動いてもらうほうが難しい。仕事場でも同じで、うまく指導したつもりでも部下ができるようになるとは限らないという矛盾があります。 こういうことは、ぼくの年齢の人はみな通らなければならない道なのかもしれませんが……。

 

霊的な父という段階へ

    コーチ
  1. いいところを通っているよね。今は次のステージに移る前で停滞しているように思うかもしれないけど、これまでも成果がなかったわけじゃないしょ。 だから、第1コリント15章58節を読んで、今までの労苦は主にあって無駄じゃない、ということを確認しておいてください。井上さんたちは次の段階に移っていく変化の時期を迎えていると思う。メンバーを武装させて派遣するという段階。 これまではプログラムで未信者を引きつけて、賜物のある限られた人が伝道するというパターンだったけど、今はオイコス伝道、つまりそれぞれのメンバーの人脈を通して伝道できるようにセルの1人ひとりを武装させるという段階に来ている。 神様が次の成長のステージを用意してくださっているんだけど、新しいことを始めるとうまくできないのではないかという不安はあると思う。 ステップを踏ませようとしておられるイエス様についていくか、それとも逃げ出すか、どうする?

 

    秀次
  1. オイコス伝道を教えるのはさらに難しい気がする。考えれば考えるほどいろんなことが難しくて……。メンバーに手取り足取りかかわると、かえってイエス様を直接的に経験することを妨げてしまうかもしれない。かと言って途中でやめるわけにはいかないと思うけど……。

 

    コーチ
  1. 秀次さんが言ったように自分でやるほうが楽じゃない。独り立ちさせるのはできるけど、武装させて派遣するというのは難しい。多くの日本のセルはそこまで行っていない。でも行くしかない。難しいの。困難さは否定できないけれど、違った喜びがある。 井上さんたち夫婦は「霊的な父たち」になる。難しいけれどサポートするからできるよ。「霊的な父たち」という領域に入っていく。

 

派遣のための養育

    コーチ
  1. できるかできないか、と聞かれるなら、井上さんたちはできるよ。でも日本でセルがセルを生み出していくのは簡単なことじゃない。何が課題だと思う?

 

    満智子
  1. メンバーが出ていくのは出ていくと思う。みんな意欲あるから。しゅうちゃん以外、みんながセルを始めることができると思う。

 

    コーチ
  1. 一緒に出ていって新しいセルを作るという意味?

 

    満智子
  1. 2つ同時にセルを開拓するっていうのも、おもしろいかな。

 

    コーチ
  1. そこまでいっているのか。大切なのは武装させること。派遣するために養育することだよね。何を与えてどう育てよう、とかいう方策はある?

 

    満智子
  1. デボーションはどうするか教えたから、継続するように1人ひとりを励まして、ときどきチェックすることかな。けれども、新しい未信者が加わる前に伝道的な聖書の学びをするスキルを身に付けさせるのが間に合わなかった。 実際に水の中に入らないから泳がないという面があって、資料は与えたけど読んでこなかったりして。でももう未信者が加わってしまっているので、これから訓練するのは間に合わない。 私は結構あせっているんだけど、メンバーたちは楽しいみたいですよ。

 

    コーチ
  1. 水の中に入ったあとも、こうしようというイメージがあるのがいいなあ。

 

    満智子
  1. うーん。

 

    コーチ
  1. これで終わり、できるね。